Harvです。尿検査は侵襲的な検査では無いため、ほとんどルーチンでオーダーしています。
この尿検査だけでも様々な疾患の診断のきっかけになりますので、大変重宝しています。
私の見方と判断を書いておきます。
尿定性検査
比重
通常比重は1.010-1.025 尿のうすい、濃い状態がわかります。尿崩症ではうすくなります。
蛋白
蛋白尿は糖尿病腎症や、腎疾患によるものを疑うきっかけとなります
尿糖
血中農道が腎臓の閾値を超えると尿中にでてきます。SGLT2阻害薬を飲んでいる人も尿糖4+になるので、最近はそういう方も多いです
ケトン体
インスリン欠乏や絶食が続くと脂肪の分解がおこりケトーシスになります。なのでケトンが多い状態は要注意ということになります。
鮮血
尿に血が出ていると言うことです。腎臓や、尿細管、尿路などの異常を疑います。一番多いのは膀胱炎。
白血球、亜硝酸塩
白血球は炎症性変化、亜硝酸塩は細菌尿 を疑います。
尿沈渣検査
尿沈渣検査は尿を遠心分離にかけて、沈殿した赤血球や白血球、尿酸血症、細胞、細菌などの成分を調べる検査です。
尿蛋白、尿潜血が陽性になったときに行われます。円柱細胞が見つかった場合は、尿路や腎臓の病気が疑われます。
検査のどこをみているか?
もちろん異常値を見ているが、ルーチンで測定していると病気のOnset発症を捕まえることがよくある。
私達慢性疾患を担当している科の性質上、患者さんのデータを過去までさかのぼるというか時系列でざっとみているんですね。
モニターでスクロールしながら見たりしているのは、そういうところを確認しています。
突然、蛋白尿が増えたり、尿潜血(沈渣)が増えたら やはり何かおかしい
様々なケースがありますが、蛋白尿が増えたり、尿沈渣がおかしくなるということは腎臓か尿路に何らかの異常が出ていると考えられますので、その段となったらいつも精査をするようにしています。
尿検査からの異常で、さらに血液の検査クレアチニンが変化しているか、eGFRが変化しているか、ネフローゼだったら血清の蛋白、アルブミンが下がっているかなどで診断の確からしさをあげます。さらに過去の既往歴や薬剤歴も組み合わせて再発や副作用の可能性なども検討します。こういったことを患者さんと日常会話を交えながら行っています。
以上です。尿検査はさらに蓄尿などを行うと身体から1日どのくらい排出しているのか?などもわかり蛋白尿や電解質の評価には欠かせません。
私が、腎炎やネフローゼの初診診断を行うことも毎年ありますので、過去のデータ比較は非常に重要と考えています。検査を受けられた方も過去のデータとあまりにも違う場合は注意してみて下さい。