ずいぶん前に、ノートパソコンを膝上で使うと男性不妊の原因になるという話を聞いたことがありました。
時は2023年。今も、正しいのか迷信なのかその辺り調べました。
電車の中とか、家でもノートパソコンを操作すると膝上に置くことが多いですよね。まあまあ見る姿勢です。
膝上でノートパソコンを使うとなぜ不妊の原因になるという話があるのか?
根拠として、精巣が熱に弱く、パソコンの熱によって精巣の温度が上がるという論文があります。
そもそも精巣自体が熱に弱いというのは事実のようでSubstantial evidenceというような表現が散見されます。
精巣自体は体温より温度が低い方が良い環境と言われています(33℃くらい)
Sheynkin Y, Jung M, Yoo P, Schulsinger D, Komaroff E, Increase in scrotal temperature in laptop computer users. Human Reproduction. 2005;20(2):452–455, doi:10.1093/humrep/deh616
ノートPCをひざの上に乗せて作業をしていると、PCが発する熱が下半身に伝わり、精巣の温度が上がってしまう。ノートPCをひざの上で1時間使うと、睾丸(こうがん)の温度が2.5度上昇するおそれがあると報告されました。
また、この論文では座っている姿勢自体が陰嚢の温度を上げてしまう可能性が指摘されています。
2023年現在
論文が発表されたのが2005年。それから20年近く月日が流れていますが、ノートパソコンを膝上で使うと必ず不妊になるというデータがでたわけではありません。
ですが、一般論として精巣の温度を上げることは不妊の原因になりうるということです。
科学的に100%証明されたわけではありませんが、ノートパソコンを膝上で使用すると精巣の温度が上がって精子に悪影響があると広く考えられていることは事実のようです。日本語でも英語でも多くの文献が見つかりました。しかし、根拠となっている論文は1つだけなのであくまでも可能性があるという言い回しにとどまると思います。