【医師が解説】1日1800kcalの「戦略的」食事術|多忙な日のパフォーマンスを最大化するメニュー

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健康的な食事

長時間の外来、息つく暇もない手術、そして深夜の当直…。我々医師の生活は、心身ともに消耗が激しく、食生活は乱れがちです。

しかし、その「食事」こそが、我々の知的・身体的パフォーマンスと、長期的な健康を支える最も重要な基盤です。

この記事では、単なるダイエット法としてではなく、多忙な医師が一日を通して安定したエネルギーと集中力を維持するための、『1800kcal食事プロトコル』を、医学的知見を交えて提案します。

目次

多くの医師にとってあてはまる「1800kcal」が合理的な基準な理由

まず、なぜ「1800kcal」という数字が、我々にとって一つの重要なベンチマークとなるのかを解説します。

成人の1日の推定必要エネルギーは、「標準体重(kg) × 身体活動レベル」で計算されます。

  • 標準体重(kg) = 身長(m) × 身長(m) × 22
  • 身体活動レベル: デスクワーク中心の職種は「低い(25~30kcal/kg)」に分類される。

例えば、身長170cmの医師の場合、標準体重は約63.6kg。身体活動レベルを28kcal/kgとすると、63.6kg × 28kcal/kg ≒ 1780kcal となります。

院内を歩き回るとはいえ、デスクワークや長時間の待機も多い我々医師にとって、1800kcalはエネルギー不足によるパフォーマンス低下も、過剰摂取による体重増加も避けられる、絶妙なベースラインなのです。また、ストレスによる代謝異常のリスク管理の観点からも、このカロリーコントロールは有効な手段と言えます。。

【食事術の根幹】PFCバランスの理論と、パフォーマンスを最大化する比率

カロリーだけでなく、その中身であるPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)こそが、パフォーマンスの質を決定します。

炭水化物(50-65%): 脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖を供給します。ただし、急激な血糖値上昇を避けるため、玄米や全粒粉パンなど、GI値の低い複合炭水化物を選ぶのが合理的です。

タンパク質(15-20%): 筋肉の維持だけでなく、満腹感を持続させ、間食を防ぐ効果があります。

脂質(20-30%): ホルモンの材料や細胞膜の構成に不可欠。良質な脂質(魚、ナッツ、アボカドなど)を意識して摂取しましょう。

PFCの比率

タンパク質15%、脂質30%、炭水化物55%

PFCの比率

【医師の視点】なぜ、安易な「糖質制限」は危険なのか?

炭水化物を極端に制限するダイエット(ケトジェニックダイエットや低炭水化物ダイエットなど)は、短期間での体重減少が期待されますが、以下のような健康上のリスクも伴います:

  • 栄養不足: 炭水化物にはビタミンB群や食物繊維が多く含まれており、これらが不足するとエネルギー代謝や消化機能に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • ケトーシスのリスク: 極端な炭水化物制限は、体が脂肪を主なエネルギー源として利用する状態(ケトーシス)を引き起こす可能性があります。これにより、体調不良や栄養バランスの乱れが生じるリスクがあります​ 。
  • 心血管リスク: 一部の研究では、炭水化物の過度な制限が長期的に心血管リスクを増加させる可能性が示唆されています。これは、脂肪の過剰摂取や食物繊維不足が一因とされています。

【実践メニュー】多忙な医師でも継続可能な1800kcalプラン

このPFCバランスに基づいた、現実的で継続可能な1日の食事プラン例です。

朝食

  • 野菜サラダ(ドレッシングは控えめに)
  • グリークヨーグルト(無糖)
  • トースト(全粒粉)とアボカド
  • スクランブルエッグ
  • コーヒー(無糖)またはお茶
野菜サラダ
グリークヨーグルト(無糖)
トースト(全粒粉)とアボカド
スクランブルエッグ
コーヒー(無糖)

野菜を多く摂取し、主食と副菜のバランスを考えます。

コーヒーは砂糖やミルクを控え、ブラックに慣れるとよいでしょう。

昼食

  • 豆腐と野菜の和風サラダ(醤油ベースのドレッシング控えめに)
  • わかめスープ
  • 玄米
  • 野菜スティック
  • ウォーターまたはお茶
    豆腐と野菜の和風サラダ(醤油ベースのドレッシング控えめに)
わかめスープ
玄米
野菜スティック

外来が長引いた際は、コンビニの「サラダチキン」と「カット野菜」を組み合わせるだけで、数分で栄養バランスの取れた食事が完成します

夕食

  • グリルチキン(塩分控えめ)
  • 野菜のスチーム
  • 麦ごはん
  • かぼちゃの煮物(塩分控えめ)
  • 果物サラダ
  • ウォーターまたはお茶
グリルチキン(塩分控えめ)
野菜のスチーム
麦ごはん
かぼちゃの煮物(塩分控えめ)
果物サラダ

医師へのTIPS: 帰宅が遅くなった日は、無理に自炊せず、後述する栄養バランスの取れた冷凍宅配食を活用するのが、継続のコツです。

冷凍食品の利用

最近では、冷凍食品にワンプレートが登場し、味も良くなっています。お手軽に栄養をとることができます。

ワンプレートの冷凍食品について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。

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【当直・夜勤への応用】24時間でどう配分するか

当直日は「1日3食」という概念を捨て、「5~6回の分食」に切り替えるのが、パフォーマンス維持の鍵です。血糖値を安定させ、空腹も満腹も避ける戦略です。

18:00(当直入り前): 消化の良いおにぎりやスープで、軽めにエネルギー補給。

23:00(深夜帯): 小腹が空いたら、プロテインバーやナッツでタンパク質と良質な脂質を補給。

04:00(最も眠い時間帯): 温かいフリーズドライの味噌汁やスープで、身体を温め、覚醒を促す。

07:00(朝の回診前): ヨーグルトやバナナで、最後のエネルギーチャージ。

まとめ:食事は、最高の自己投資である

我々医師にとって、食事は単なる空腹を満たすための行為ではありません。 それは、日々の臨床判断の質を支え、長期的な健康を守り、そしてQOLを高めるための、最も簡単で、最も効果的な「自己投資」なのです。

この記事で提案した「1800kcal食事プロトコル」が、先生のパフォーマンスを最大化するための一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

こんにちは、現役医師のDr. Harvです。
このブログは、医師特有の「論理的思考」を武器に、多忙な同業の仲間たちの人生における3大テーマ【キャリア・お金・QOL】を最適化するための、戦略と実践録を発信するプラットフォームです。
単なる情報ではなく「思考のOS」をアップデートする、信頼できるナビゲーターでありたいと考えています。

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