カンファレンスでの発表中、突然PCの動作が重くなる。 当直室で論文を書いていると、キーボードの奥が触れないほど熱い…。
レッツノートの「発熱」は、単なる不快な症状ではありません。 それは、CPUの処理速度が強制的に低下する「サーマルスロットリング」や、突然のシャットダウンという『最悪の事態』の前兆となる、重要なサインです。
この記事では、このPCの“発熱”という症状を、医師の視点から診断し、先生の「デジタルパートナー」のパフォーマンスを守るための、具体的な対策と予防法を解説します。
【鑑別診断】PCが「発熱」する3大原因
まず、症状から考えられる原因を、可能性の高い順に鑑別していきます。
鑑別①:過重労働(高CPU負荷)解説: 複数のアプリケーションや、重い統計解析ソフトなどを同時に起動していることによる、純粋なオーバーワーク状態です。バックグラウンドで動いている不要なプログラムが、気づかぬうちにCPUに負荷をかけ続けているケースも多く見られます。
鑑別②:冷却機能の低下(エアフローの悪化)解説: これが最も一般的で、かつ見過ごされがちな原因です。PC内部の冷却ファンや排気口にホコリが詰まることで、PCが正常に“呼吸”できなくなり、内部に熱がこもっている状態です。長年の使用による、CPUグリスの劣化もこの一因となります。
鑑別③:環境要因(外部からの加熱・排熱妨害)解説: 充電中のACアダプターからの熱や、直射日光、そして、布団やソファの上での作業による排気口の閉塞など、外部の環境がPCの体温を上昇させている状態です。
【対策プロトコル】PCの「解熱」と、パフォーマンスを回復させる方法
原因の鑑別に基づき、侵襲度の低い順に対策を試します。
対策①:タスク管理(負荷の軽減)
まずは、Ctrl
+ Shift
+ Esc
キーを同時に押し、「タスクマネージャー」を起動します。CPUやメモリの使用率が高い、不要なプロセスやアプリケーションを選択し、「タスクの終了」をクリックします。PCの“仕事量”を適正化する、最も基本的な対処法です。
対策②:エアフローの改善(内部クリーニング)
PCの電源を完全に切り、ACアダプターを外した状態で、PCの側面や背面にある排気口に向かって、エアダスターを数秒間噴射します。これにより、内部に溜まったホコリを物理的に除去し、PCの“気道”を確保します。これだけで、冷却性能が劇的に改善することがあります。
対策③:冷却の補助(冷却グッズの活用)
ノートPC用の冷却パッドやPCスタンドを使用し、物理的に冷却を補助します。特にPCスタンドは、PCの底面に空間を作ることで排熱を促すだけでなく、画面の目線を上げて姿勢を改善する効果もあり、一石二鳥の優れた投資です。
【予防】「熱暴走」の再発を防ぐための環境整備
一度解熱しても、根本的な環境が変わらなければ、症状は再発します。PCの健康を維持するための、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
✅ 定期的なバックアップ: 熱暴走による突然のシャットダウンや、SSD/HDDの故障リスクに備え、重要なデータは常にバックアップを取っておく。
✅ 定期的な内部クリーニング: 3ヶ月~半年に一度は、エアダスターで排気口のホコリを除去する習慣を。
✅ 不要な常駐アプリの整理: PC起動時に自動で立ち上がるアプリを見直し、不要なものは無効化しておく。
✅ 作業環境の見直し: 柔らかい布の上ではなく、硬く平らな机の上で使用することを徹底する。
まとめ
レッツノートが熱くなる問題は、主にCPUの高負荷や冷却機能の低下によるものです。定期的なメンテナンスと適切な対処法を実践することで、発熱問題を軽減し、快適に使用することができます。