Harvはアカデミア一線にいましたが、要は頑張りすぎて体調を崩してしまい退く形になりました。多くの先生方が通る道ですが臨床と研究の両立は全く簡単ではないと思い知りました。今日は、全くもってHarvの個人の意見を述べたいと思います。
本記事の内容はHarvの主観ですので、各人には当てはまらないかと思います。このような例もあるとお考え下さい。
医師は研究活動をすべきだと思う
基本的には研究活動をすべきだと思います。臨床だけの先生でも、治療薬の評価や臨床データなどなど素養があった方が医学の進歩に役立ちますし論文を書いたり読んだり、そのあたりはできた方が良いに決まっています。
特に、糖尿病・内分泌・代謝内科の医師は、他の科の先生方と比較して、これといった手技もないので必須スキルと個人的には思っています。
臨床だけでは退屈になってしまった
これ結構、当てはまる先生いると思うんですよね。私は研究ははじめ興味なかったのですが、臨床を続けて専門医とるぐらいとのところで毎日同じことの繰り返しで、ここは1つ治療の新規開発などした方が良いのではないかと思い大学院に進みました。独身で手取りはそこそこもらってて、夜は遊びにいって。。こんな日々を繰り返していたら医師として大丈夫なんだろうか?と自問自答した日々。今思うと、若いですね。やっぱり。臨床を続けて今よりもちょっぴりお金持ちになっていても精神的な成長は望めなかったように思います。
大学院生活は楽では無かった
大学院生活の日々はラクじゃ無かったですし、給料がガクンと落ちましたので頑張らないといけないなと思いました。ただ、大きなプロジェクトに関わっていたこともあって言われたことだけやってバイトなどやっていた方がよかったなと今になっては思います。夜遅くまでとりあえずいるようにしていましたが、後述する留学時代のことを知っていれば研究活動なんて、さっさと結果出して帰るのが一番スマートです。正直言いまして、研究関連のことは狭い社会で、簡単に個人特定ができるためあまり突っ込んだことを書くことが難しいです。そのためネットから真の実情の情報を得ることは難しいかなと考えています。大学院を希望される先生は必ず、ラボの所属している、いた人と何らかのコンタクトをとって事前に情報収集をしておくことをオススメします。厳しいとこであれば、当然覚悟してから行って下さい。最後に決めるのは自分自身の選択です。
留学時代のポスドク時代はもっと辛かった
運良く、アメリカに留学することができましたが大学院生は守られている存在であることを思い知ったのがこの頃です。世界中から優秀なポスドクがしのぎを削るそんな感じでした。雰囲気は休んでいる場合では無く、とにかく休み無く研究活動を続けました。それでも、全員がハッピーにはなれないのでこのあたりは「まぐれ」、「たまたま」の要素があると思っています。運良く、国内からお声がかかってアメリカから日本に戻ることができました。留学時代のことは、また別の機会で述べようと思います。
留学して良かったなとおもうこと
- 英語がそれなりにしゃべれるようなって苦手意識が減る
- 研究があたれば、日本よりもチャンスが多い
- 異なる文化圏で過ごすことができて、自信がつく
- 日本を離れると日本のいいところ、悪いところがわかる
- お金がとにかく減るので、節約するようになる
- 家族との時間を大事にするようになる
コロナもあっていろいろ難しい時期にはなっていますが、留学ってプライスレスなところはあるので、できるならオススメしたいところです。
留学して悪かったなと思うこと
- 生存バイアスになっているので、既にHarvのアドバイスは役に立たないかも
- お金はめちゃくちゃ減る
- 治安は日本と比べられないくらい、やっぱり良くない(窃盗などは普通にある)
- トラブルは日常茶飯事
- 文化が全く異なるので、慣れるまで大変
- 医局に所属していると、留学している間に情勢が変化していて戻れなくなることも
国内の研究活動は全然ラクじゃ無かった
アメリカから戻った日々は、手取り給料は増えて安心はしましたが、雑用の多さがキツかったです。また、ゼロサムに近い研究費獲得に邁進する日々。そんななか大学院生の指導にもあたりますが、研究やったことがない人に教えるのはなかなか難しい状況でした。
で、体調を崩す
大学院生に任せているだけでは難しいので、臨床の合間に自身も実験をしていましたが、マルチタスクとなるため留学中の100%全力というわけにもいかずイライラがたまります。そんなこんなで体調を崩しました。あ、このままではいけないと。今後についてよく考えないといけないなと。そういう状況です。それなりに役に立ちそうな知識や経験はあるので、おいおい記事にしようと思います。
医師は研究うまくいかなくても収入が途絶えることは無い
できれば、研究活動と他の活動など両立していくのが良いかなと思います。研究はうまくいかないことも多いのですが、医師であれば収入を失うことは無いでしょう。その点がガチのPh.Dとの違いです。ホントに厳しい世界だなあと思います。
それでも、研究することになったら覚えておいて欲しい以下の処世術。
私がアメリカ生活および日本での短くない研究生活を通じて学んだことです。以下に記しておきます。
研究活動での処世術
Dr.Harvの経験則でのしのぎ方です。大学院生やポスドクの方には参考になるかも。もちろん、エース級の先生方から見たら参考にならないかと思います。
凡人がトップラボでもそれなりに上手くやっていく私なりに考える1つの方法です。
- 計画的に進める(失敗しても何かを得るようにする)
- ボスにはアピール必須、データの見せ方、ネガティブデータの信頼性
- 無理なものは無理と言う(論理的に)
- 協力する(ラボメンバーに敵を作らない)
- 周囲のメンバーが何をしているか把握しておく
- 上手くいっているときは勢いに任せて進める(メリハリをつける)
- ダメなときはダメなので、その辺りは折り合いをつける
順番に行きましょう
計画的に進める(失敗しても何かを得るようにする)
急がば回れです。「とりあえずわからないから実験してみよう」とか言われますが、経験上高確率で失敗します。事前に、ネガティブ、ポジティブ、予測されるデータなど対策しておきます。また、大きな実験では試薬や準備、共同研究者の都合などボトルネックを把握しておくこと。今進めている実験がコケた時のPlanBも手を打っておきます。で、この作業は一人でやらずに教官やボスに確認をいれておくことでOKです。メールのやりとりにCCいれとくとか、直接相談しておくとかそういうやつです。
ボスにはアピール必須、データの見せ方、ネガティブデータの信頼性
留学先などでは、ボスはこのポスドクを信頼してよいか判断材料を欲しています。見切られるといいプロジェクトはまわってきませんので論文が遠のきます。気に入られると、ボスも自分のやりたいプロジェクトをやっているポスドクを優遇するのは人間なのでどうしてもおきますのでやはり重要です。ポイントとしては、ポジティブデータをアピールするのは言うまでも無いのですが、ネガティブデータをしっかりと出しておいて論理的に示しておくことで、こいつがネガならネガだなと思わせればラボでの地位は安泰です。勿論、ノーデータではキツいのですが。ボスがベンチにきたときにスッとデータを見せるよう準備しておく抜け目のなさは重要です。
無理なものは無理という(論理的に)
仕事ができるなとなると無限に降ってきますが、優先順位をつけて適当に断りましょう。で、無理なものは無理と言った方がいいです。
協力する
ラボメンバーには敵を作らないようにしましょう。生き残るためには必須です。共著者に入るチャンスも増えますし、ひどいとあいつだけ外してくれ何てこともありますし、リビジョンの実験だけ参加してひょっこり加わるなんてことも展開によってはあります。ボスが全てを決めてくれることは期待しない方がいいです。
周囲のメンバーが何をしているか把握しておく
大人数のラボでは難しいですが、そんなに人数多くないラボでは各人が何をしているか、得意かを把握して助けを求めるのがよいです。その逆もしかりで助けが必要だと言われたときは快く応じましょう。エースポスドクがどこのラボにもいますから、振る舞いや実験への姿勢なども参考になります。
上手くいっているときは勢いに任せて進める(メリハリをつける)
基本失敗ばかりで気が滅入るものですが、データがでているときラボメンバーの反応が良いときは流れがきています。そういうときは勢いに任せてペースをあげて進めましょう。論文がでないと結局難しいですが、サブミットまでひとまず頑張ればあとは道が開けます。
ダメなときはダメなので、その辺りは折り合いをつける
何をやっても上手くいかないときもあります。そんなときは少し休んで見るのもアリかなと思います。文献を調べたり、気分転換していると閃くことがあるかもしれません。たいていはプロジェクトをもう1つ用意しておくことが多いと思います。
以上です。