医師の働き方改革と現実【A,B,C水準とは】

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医師の働き方改革が近づく中、C水準やC2水準が病院の機能維持にどのような影響を与えるのか、そして時間外労働規制が医師の研究や教育にどのような影響を与えるのか。この記事では、働き方改革の現状と今後の課題を探ります。

医師の働き方改革と病院機能維持両立の課題

病院が働き方改革を実施しながらも病院の機能維持を図ることが求められており、これが現状、大きな課題となっています。

医師の働き方改革においては、

時間外労働時間の上限規制

3つの水準が検討されています

A水準:すべての医師(診療従事勤務医)
時間外労働規制:年960時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

B水準:地域医療暫定特例水準(救急医療など緊急性の高い医療を提供する医療機関)
時間外労働規制:年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

●C水準:集中的技能向上水準(初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指すなど、短期間で集中的に症例経験を積む必要がある医師)
時間外労働規制:年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

AとB,C違いすぎない?2倍も違いますが、当然これも懸念事項。

運用に当たっては、B,Cで働く医師は若手のバリバリ、専門医研修を行う先生方を想定・対象としています。

引用: 民間医局コネクト

C水準が病院機能維持に重要?

C水準の労働時間規制が病院機能の維持に必要だという意見が増えています。しかし、それは本当に効果的なのでしょうか?

表向きは技術習得のためには、時間外労働による修行が必要という考え方ですが、根底には時間外労働を行わないと高度医療が維持できないという背景があると考えます。以下現状をまとめます。

現実の労働状況とニュース報道

現実の労働状況は、ニュース報道でも取り上げられるほど厳しいものがあります。つまり、現状のシステムでは対応できないということを示しています。働き方改革は来年からですが、とうてい達成できるとは思えないところです。

大学病院では診療に加えて学生、医師への教育という役割も担っており、さらに研究も行っています。

先ほどの報道においても、労働時間を今より短縮した場合の教育や研究への影響については、ほとんどの病院が「研究の時間が確保できなくなる」、「教育の質の低下が生じる」と回答したということで、働き方改革と病院の機能維持の両立が課題となっています。

C2水準の対象技能と申請の現状

C2水準の対象技能は高度な技能獲得を目指す医師に適用されますが、申請の現状や対象技能の範囲についてはまだ曖昧な部分が多いです。

▽「我が国の医療水準の維持発展のために必要な診療領域において、高度な技能を有する医師を育成することが公益上特に必要と認められる医療の分野」とは、日本専門医機構の定める19基本領域とする

▽C2水準の対象となりえる技能としては、▼医学研究や医療技術の進歩により新たに登場した、保険未収載の治療・手術技術(先進医療を含む)▼「良質かつ安全な医療を提供し続けるために、個々の医師が独立して実施可能なレベルまで修得・維持しておく必要がある」が、基本領域の専門医取得段階ではそのレベルまで到達することが困難な技能―とする

▽技能の修得にやむを得ず長時間労働が必要となる業務としては、(ア)診療の時間帯を選択できない現場でなければ修得できない(イ)同一の患者を同一の医師が継続して対応しなければ修得できない(ウ)その技能に関する手術・処置等が長時間に及ぶ―の1つ以上に該当するものとする

C2水準の対象技能の考え方(医師働き方改革推進検討会(2)1 210823)



例えば「新専門医制度におけるサブスペシャリティ領域のうち、長時間の集中的研鑽が必要なもの」などが該当します

サブスペ領域でなくとも、技能獲得の計画が認められれば960時間を超えるC

例えば、「保険適用されていないが、有用と考えられるX技術」を身に着けようと熱意を持った医師が、申請を行い、当該技能が上記の要件を満たしていることが確認され、技能獲得の計画などに問題がなければ、サブスペ領域でなくとも、当該医師が専門医資格保有者でなくとも、C2水準として960時間を超える時間外労働が認められることになります。

制度としては、熱意のある医師と定義されているようにC2水準の実施については「高度な技能獲得を目指す医師」からの申請がベースになります

時間外労働を是とする考え方は、常に議論があるわけですが過労死の問題も以前から続いているわけですから高度技術と労働時間に相関があるのか無いのかの議論からはじまってしかるべきに思います。

まとめ

働き方改革によって医師の労働環境が改善されることは望ましいですが、病院機能の維持という観点からも十分な検討が必要であることは明らかです。今後の働き方改革が、医師の労働環境と病院機能の両立がどのように達成されるのか注目されます。

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drーharv

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