【後期研修の病院選び】働き方改革後の「時間外労働」表記は、こう読め!“ブラック”な研修先を、データで見抜く技術|2025年版

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医師の働き方改革

専門医取得を目指す、後期研修医(専攻医)の先生方。

2024年から始まった、医師の働き方改革が、我々の「病院選び」の、常識を、根本から、変えようとしています。

これまで、曖昧だった、各施設の「忙しさ」が、「想定される、時間外労働時間」という、客観的な、“数値”として、研修プログラムに、明記されるようになったのです。

この記事では、この、新しく、提示された「データ」を、我々が、どう、正しく、読み解き、自らのキャリアにとって、最適な研修先を、見つけ出すか、そのための、具体的な「読影術」を、解説します。

目次

なぜ、今、「時間外労働」が、明示されるようになったのか?

この変化の背景には、2024年4月から、全ての医師に適用された、時間外・休日労働の上限規制があります。 国が、各医療機関に対し、「あなた方の、研修プログラムは、若手医師を、年間、何時間、時間外労働させることで、成り立っているのか」という、不都合な真実の、開示を、迫った、結果なのです。

特に、高度な技能の習得を目指す、C-1、C-2水準が適用される、大学病院などでは、この時間外労働時間の明示が、義務付けられています。

時間外・休日労働の上限規制

C1-2は研修プログラムは集中的技能向上水準として研修プログラムや高度技能の育成が必要な場合に適用されます。

C-1,C-2は医療機関が指定されます。

引用: 民間医局コネクト

時間外・休日労働の上限も増えています。

引用: 民間医局コネクト

また、連続勤務時間制限、勤務間インターバルの確保が義務となっています。

勤務実態が、条件(時間外労働上限X時間など)と乖離する場合には、各制度の中で是正(臨床研修病院の指定取り消しなど)し、健康確保措置の未実施については、都道府県知事が是正する(C水準の特定取り消しなど)

実態が乖離する場合は指定取り消しなど強い文言となっているため、若手医師の労働時間、勤務実態は管理されることが考えられます。

専門プログラムの対応

基幹病院と連携病院をローテーションするプログラムをよく見ますが、この場合は時間外労働時間が施設毎に異なります。

研修プログラムにおける時間外労働状況等の明示イメージ(医師専門研修部会1 220202)

上表では「イ病院」(連携施設)では、時間外労働の時間は「900時間」と示されていますが、これは

「イ病院において必要な症例を経験するためには月75時間の時間外労働が必要と想定され、1年間(12か月)に換算すると900時間の時間外労働が必要なことを意味する」として時間外労働時間を年単位換算想定しているようです。

以下

▽X病院:必要な症例を経験するためには月133時間強程度の時間外労働が必要(年単位換算では133×12→1600時間)
▽イ病院:必要な症例を経験するためには月75時間程度の時間外労働が必要(年単位換算では75×12=900時間)
▽ロ病院:必要な症例を経験するためには月125時間程度の時間外労働が必要(年単位換算では125×12=1500時間)
▽ハ病院:必要な症例を経験するためには月8時間強程度の時間外労働が必要(年単位換算では8強×12→100時間)
▽ニ病院:必要な症例を経験するためには月133時間強程度の時間外労働が必要(年単位換算では133強×12→1600時間)

このような表記となっております。

時間外労働時間、「想定される当直・日直の回数」や「前年度の専攻医における時間外労働実績」も記載することが求められます。

時間外労働が多く想定されている施設の方が症例が多いことが一般的ですが、専門医の必要な要件を満たすには時間外労働が少ない施設でも可能と考えられますので総合的に判断することになると考えられます。

【読影術】募集要項の「時間外労働〇〇時間」という“検査値”の、正しい解釈

この「時間外労働時間」という、新しい“検査値”を、我々はどう、読み解くべきでしょうか。

「時間外1600時間」という、検査値が、示すもの

これは、「月133時間」の、時間外労働を意味し、過労死ライン(月80~100時間)を、大きく、超える、極めて、高い「異常値」です。 ここからは、圧倒的な、症例数と、引き換えに、自らの、QOLは、完全に、犠牲になる、という、未来が、明確に、読み取れます。

「時間外900時間」という、検査値が、示すもの

これは、「月75時間」程度の、時間外労働を意味します。過労死ラインには、ギリギリ、抵触しない、「境界領域」の値です。症例数と、QOLの、ある程度の、バランスが、期待できるかもしれません。

「時間外100時間」という、検査値が、示すもの

これは、「月8時間」程度の、時間外労働を意味する、「正常値」です。QOLは、非常に、高く、保たれるでしょう。しかし、専門医として、より、多くの、手技や、困難な症例を、経験したい、と考える、向上心の高い医師にとっては、物足りない、可能性も、示唆しています。

あなたのキャリアプランに、最適な「研修先」を選ぶための、3つの、自己分析

この、客観的なデータを、基に、あなたが、後期研修の3年間に、何を、最も、優先するのか、自己分析を行いましょう。

① 症例数・スキル習得、最優先型:「3年間は、プライベートを、全て、犠牲にしても、とにかく、誰よりも、多くの、経験を、積みたい」 時間外1600時間クラスの、大学病院なども、選択肢に。

② QOL・プライベート、最優先型:「専門医は、最低限の、要件で、取得できれば良い。それよりも、家族との時間や、自分の、健康を、大切にしたい」 時間外100時間クラスの、市中病院なども、選択肢に。

③ バランス追求型:「過労死するほど、働きたくはないが、症例数が、少なすぎるのも、不安だ」 時間外900時間前後の、施設を、中心に、探すのが、合理的。

まとめ:「感覚」ではなく、「データ」で、未来を選ぶ

これからの、後期研修先選びは、もはや、「医局の、評判」や、「先輩の、感覚」といった、曖昧な情報だけで、決める時代ではありません。

「時間外労働時間」という、客観的な、データに基づき、自らの、価値観と、照らし合わせ、最も、合理的な、選択を、主体的に、下していく。 その、論理的な、思考プロセスこそが、あなたの、3年後、5年後の、未来を、決定づけるのです。

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