膨大な臨床データの統計解析、引用文献リストのフォーマット整理、そして、日々の業務を自動化する、ちょっとしたツールの作成…。
我々医師・研究者の仕事は、本来の「考察」や「診断」といった、高度な知的作業以外の、退屈で、時間のかかる“作業”に、あまりにも多くの時間を奪われています。
もし、その“作業”を、24時間、文句も言わずに、超高速で手伝ってくれる「最強の研究補佐」がいたら?
それが、GitHub Copilotです。この記事では、このAIアシスタントを、我々医師が、いかにして自らの専門領域で活用し、生産性を飛躍させるか、その具体的な応用術を解説します。
【倫理と安全】医師として、生成AIコードを扱う際の注意点
この強力なツールを活用する大前提として、我々が遵守すべき、プロフェッショナルとしての倫理規定があります。
① 患者情報の入力は絶対禁止:これは言うまでもありません。個人が特定されうる情報は、いかなる形であれ、Copilotに入力してはいけません。
② 生成されたコードの、最終的な責任は自分自身にある:Copilotは、時に、もっともらしい間違いを犯します。特に、統計解析のコードなどは、そのロジックが本当に正しいか、必ず自らの目で検証し、その結果に全責任を負う必要があります。
③ 著作権への配慮:Copilotは、インターネット上の公開コードを学習しています。生成されたコードが、既存のオープンソースコードと酷似している可能性もゼロではありません。特に、商用利用などを考える場合は、著作権やライセンスについて、慎重な確認が求められます。
【医師のユースケース】知的生産性を飛躍させる、3つの応用術
では、これらの注意点を守った上で、Copilotをどう活用すべきか。具体的な3つのシーンを提案します。
① 統計解析(R・Python)のコード記述を、劇的に加速させる
R
(活用例)
コーディングに不慣れでも、コメントで、自然言語で指示を出すだけで、Copilotは、驚くほど正確なコードを提案してくれます。
# R言語で、data.frameという名前のデータフレームから、
# groupAとgroupBの、valueという列の値を比較するため、
# t検定を行い、P値を計算し、結果をggplot2の箱ひげ図で表示するコードを書いて
これにより、統計解析の試行錯誤にかかる時間が、劇的に短縮されます。
② 論文執筆における、定型文・参考文献リスト作成の自動化
(活用例)
論文の「Materials and Methods」のセクションなど、定型的な文章のドラフトを、キーワードをいくつか与えるだけで、瞬時に生成させることができます。また、膨大な参考文献リストを、特定のジャーナルのフォーマット(バンクーバー方式など)に、WordのVBAマクロやPythonスクリプトを使って変換する際、そのコード自体をCopilotに書かせる、といった応用も可能です。
③ 業務効率化ツールの、高速プロトタイピング
(活用例)
「このフォルダにある、全てのExcelファイルを開き、A1セルの値を、一つのリストにまとめて出力する」といった、日々の単純作業を自動化するためのPythonスクリプトを、数分で作成することができます。
【導入プロトコル】個人・研究室でのライセンス選択
GitHub Copilotを利用するには、サブスクリプション契約が必要です。用途に合わせて、最適なプランを選びましょう。
- 個人で試すなら →
Copilot Individual
月額$10(または年額$100)で、全ての基本機能を利用できます。まずは、30日間の無料トライアルで、その圧倒的な生産性向上効果を、ぜひ一度、体験してみてください。 - 研究室単位で導入するなら →
Copilot Business
ユーザーあたり月額$19。チームでのライセンス管理が容易になるほか、入力したコードがAIの学習データとして利用されない、というプライバシー保護機能が提供されます。機密性の高い研究データを扱う場合は、こちらのプランが推奨されます。
▶ GitHub Copilotの公式サイトで、最新の料金プランを確認する GitHub Copilotドキュメントをご覧ください。
まとめ:単純作業はAIに任せ、我々は「思考」する
GitHub Copilotは、我々医師・研究者を、コーディングという「手段」の学習コストから解放し、**「何を、どう分析し、どう考察するか」**という、本来、最も時間を費やすべき、本質的な「思考」の領域へと、引き上げてくれる、強力なパートナーです。
この「最強の研究補佐」を使いこなし、自らの知的生産性を、次のレベルへと引き上げましょう。
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