医療情報を専門とするメディカルトリビューンは、長年にわたる信頼を築いてきましたが、近年、経営難に直面しています。2024年に入っても依然として赤字が続いており、その背景には従業員と経営側の対立や業界全体の収益モデルの変化が大きく影響しています。この記事では、これらの問題点と最新の状況について探ります。
医療メディアの老舗に何が?──メディカルトリビューンの赤字問題
赤字となっている状況は貸借対照表からもわかります。流動負債が多くなっておりキャッシュフローの低下、財務状況は厳しくなっています
赤字の原因
コロナ禍以降、また少子化、生産人口の低下、高齢化などにより医療業界の収益構造の変革が求められています
- 広告収入の減少
デジタルシフトが進む中で、メディア業界全体で広告収入が減少しています。メディカルトリビューンも例外ではなく、特に医療関連の広告主がデジタルプラットフォームへ移行しているため、伝統的な広告収入が激減しています。Medical Tribuneは医学系新聞を発行しています - 読者の減少とデジタル化対応の遅れ
紙媒体からデジタルへの移行が進む中で、メディカルトリビューンはデジタル化対応に遅れを取っています。これにより、読者数が減少し、収益構造の再構築が求められています。
エムスリー、ケアネット、メドピアなどの競合他社と食い合っていることも要因と考えられます
赤字の3大原因と構造的問題
① 医療広告収入の激減
デジタル広告の台頭により、紙媒体ベースの広告収入が大きく落ち込みました。
医師ターゲットの広告主も、エムスリー・メドピア・ケアネットなど、自社プラットフォームやWeb広告へと予算をシフトしています。
② デジタル対応の遅れ
紙ベースの発行が中心だったため、読者離れ・購読数減少に拍車がかかっています。
他社が動画配信やオンライン診療連携サービスに踏み出す中、イノベーション不足が否めません。
③ 社内の方針対立と改革の遅延
一部報道では、従業員と経営層の方針の違いも問題視されています。現場と経営が噛み合わず、抜本的な構造改革が遅れているという指摘もあります。
まとめ
医療情報の信頼性と発信力では評価の高いメディカルトリビューンですが、経営の持続可能性には不安が残ります。
仮にサービス縮小や媒体統合が進めば、医師ユーザーの情報取得手段にも影響が出るかもしれません。