【医師のコンプライアンス】自己診療・自家診療はアリか?保険請求の罠と「個別指導」リスク|2026年版

当ページのリンクには広告が含まれています。
dr-harv.comスマホヘッダー画像

「風邪を引いたから、自分のIDでパパッと処方箋を出してしまおう」 「家族が体調を崩したから、ついでに薬を出しておこう」

日々の業務に追われる多忙な勤務医や開業医であれば、誰もが一度は頭をよぎる誘惑です。 しかし、この「自己診療」や「自家診療」という行為の裏には、我々の最大の資本である「医師免許」と「キャリア」を脅かしかねない、保険請求上の重篤な罠が潜んでいます。

この記事では、自己診療・自家診療に関する法的なルールを整理し、合理的な医師がいかにしてこの無用なリスクを回避すべきか、その防衛プロトコルを解説します。

目次

1. 自己診療(自分自身を診る)は100%「自費」が原則

医師が自分自身を診察し、処方すること自体は医師法で禁じられているわけではありません。 しかし、健康保険法上のルールにおいて「自己診療による保険請求」は明確に認められていません。

つまり、自分に薬を処方する場合、保険証を使って3割負担にすることはできず、「全額自己負担(10割負担)」となります。 これを「バレないだろう」と保険請求を通してしまうと、明らかな不正請求となります。数十円、数百円の薬代をケチるために、医師としての社会的信用を天秤にかけるのは極めて非合理的な行動です。

2. 自家診療(家族や職員を診る)に潜む2つの罠

では、自分の家族や自院のスタッフを診察する「自家診療」はどうでしょうか。ここには2つの大きなリスクが存在します。

罠①:医師法第20条(無診察治療等の禁止)違反リスク

家族から「いつもの薬を出しておいて」と頼まれ、カルテも書かずに処方箋だけを発行する行為。これは、医師法第20条が禁じる「無診察治療」に直結します。 身内であっても、必ず診察を行い、その所見を診療録(カルテ)に正確に記載する義務があります。

罠②:加入している「保険組合」による請求可否の違い

きちんと診察・カルテ記載を行ったとしても、自家診療の保険請求が通るかどうかは、患者(家族やスタッフ)が加入している保険者によって異なります。

  • 一般的な社会保険(協会けんぽ等): 原則として保険請求が可能です。
  • 医師国保(医師国民健康保険組合): 原則として保険請求が「禁止」されています。(へき地診療など一部の例外を除く)

自身の家族が医師国保に入っているにもかかわらず、うっかり保険で自家診療を行ってしまうと、これも不正請求扱いとなります。

3. 最大のリスクは「個別指導」のトリガーになること

自家診療において最も厳しく見られるのが、「窓口での一部負担金(3割など)を適切に徴収しているか」という点です。

「身内だから」「自院のスタッフだから」と、窓口での支払いを免除したり、カルテに支払い記録を残さなかったりすると、「一部負担金の受領義務違反」となり、厚生局による個別指導(監査)の強力なトリガーとなります。

一度個別指導の対象になれば、膨大な過去のカルテの提出を求められ、精神的にも時間的にも甚大なダメージを受けます。最悪の場合、保険医指定の取り消しというキャリアの終焉を招きかねません。

まとめ:合理的な医師は「医療をアウトソーシング」する

自己診療や自家診療は、多忙な医師にとって「時短」や「節約」になるように錯覚しがちですが、その実態は「わずかな利便性のために、巨大なコンプライアンス違反リスクを背負い込む極めて割に合わない行為」です。

我々医師が取るべき最も合理的な行動は、自分の体調不良や家族の病気に対しては、「きっちりと他の医療機関を受診し、プロの客観的な診療を受ける(アウトソーシングする)」ことです。

【時間と心身の余裕を生み出す、真の防衛術】 「病院に行く時間すら惜しい」と感じるほど多忙な先生こそ、PC環境や労働環境を最適化し、日々の業務から無駄な時間を徹底的に削ぎ落とす必要があります。 危険な自己診療で時間を節約するのではなく、以下のHub記事を参考に、ガジェットやITツールへの投資によって「安全で合法的な時間資本」を創出してください👇

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次