内分泌を専門としていない先生が副腎不全を疑う、診断するためのコツを解説します
要はコルチゾールが低いことを確認すればOK
副腎不全は病因が多彩であるため慣れていないとこんがらがります。
実際はシンプルです。コルチゾールが低いことを確認します。
副腎皮質機能低下があれば副腎不全です。
ACTHは診断に使いますが、副腎不全の本態はコルチゾールの低下です。
採血は早朝に行うこと!日内変動
コルチゾールは通常朝高く、夜低い 日内変動があります。
早朝コルチゾール値が
①18μg/dL以上であれば副腎不全は否定的
②4μg/dL未満であれば副腎不全の可能性が高い
③4μg/dL以上18μg/dL未満では副腎不全を否定できない とされています。
これぐらいの変動は日内変動で起こってしまうため朝の検査が必須です。
診断以降のステップは内分泌に投げればOK
コルチゾールが低い でコンサルトされて文句言う先生はいないと思いますが、診断以降のややこしいところはお願いしてOKです。
特に診断検査などで行うインスリン低血糖試験は、本当に副腎不全があると低血糖遷延する危険もあり専門科でないと施行しない方が良いです。
臨床的に診断しやすい状況をおさえておく
症状
倦怠感、脱力感、体重減少、ショックまでいくと意識障害
食欲減退、発熱
血圧低下、低血糖
ステロイド長期投与(たまにセレスタミンなどステロイド含有を意識されておらず長期使用されていることがある)
分娩時大量出血(Sheehan症候群)
クリーゼでなければ、体重が減ってきた、食欲がおちている、元気が無いなどのやや漠然とした症状になることが多いです。病歴や内服歴などが参考になります。
副腎不全の可能性が高くなる検査所見
低Na血症 (バソプレシン抑制の欠如で、要はSIADHになる)
低血糖
好酸球増加
循環血漿量が低下するのでBUN、Creが増加することがある(コルチゾールは血管のToneを調節する。副腎不全だと血管の張りがなくなるイメージ)
私は低Naで引っかけて早期に診断するケースが多いですが、SIADHなのでナトリウム130前半くらいが多いですかね。120台まで行く場合は他のデータもおかしいことがほとんどです。
コルチゾールが低いけど 副腎不全じゃ無いとき
コルチゾールは通常、朝高くて、夜低くなるリズム(日内変動)を持っています。
睡眠パターン、仕事のシフトなどで簡単に数値が変わるので生活パターンの確認が必要。
だいたい検査値だけおかしくて、症状が何も無い場合はこのパターンが経験上多い。
まとめ
副腎不全を疑ったら、早朝のコルチゾール、ACTHは測定しよう。
午後や夜外来の場合、その時間帯で検査をしても診断することはできないので紹介するか別日に検査をしてもらう。
診断はコルチゾールだけで良いのだがACTHが無いとコンサルトの時にちょっと何か言われるかも(無くても問題ないですが)。
朝のコルチゾールが高かったら副腎不全は除外です。
全身倦怠感、体重減少+低ナトリウム、低血糖 の人を狙い撃つだけでも年に数例診断できると思う(Harvの経験で)
ひっかかったら内分泌にコンサルトください。